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優れた「にじみ」の画仙紙、紙漉き体験、山梨県の手漉き(手すき)和紙
有限会社 山十製紙
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手漉き和紙の美しい「にじみ」 | 西嶋和紙のにじみの特徴

手漉き和紙の「にじみ」とは?

いくつかの特徴があります。白さ、柔らかさ、筆ざわり、墨色の良さがありますが、一番の特徴は「にじみ」(滲み)です。

この「にじみ」の味を出すために西島手漉き和紙の業者は何十年も心血を注ぎ磨き上げてまいりました。

手漉き和紙で美しい「にじみ」を得る製法

普通の繊維には必ず樹脂が含まれております。紙を漉いた時はそれほど目立ちませんが2~3年経ちますと繊維の中から樹脂が徐々に出てきます。そうすると作ったばかりの紙は良いにじみをするのですが、数年たつと「にじみ」が止まってきます。

止まるだけなら良いのですが、一部墨で書いたところが星のように白い点となって残ることがあります。

これは繊維の細胞の中に油胞という油の袋がありここから少しずつ樹脂が出てきます。特に温かいところで栽培された楮などに多くあるようです。

このような樹脂分を取り除くために中国では2000年前から材料の稲わらや靭皮を石灰で煮てそのあと工場周辺の山で野ざらしに数年放置して、紫外線と雨で時間をかけて油を抜く製法です。

山の斜面に原料を3年広げる

有名なところでは安徽省 涇県、紅星碑が有名です。ここでは10年ほど前からこの昔ながらの製法に戻したようです。以前は日本人にはその製法を見せることはなかったのですが、今では工場の一部を公開し2000年前の作業風景を見学できるようになりました。

繊維から樹脂分を抜けばよい「にじみ」でます。

このように繊維から樹脂分を抜く作業は大変難しく強い薬品で油を抜くと繊維が傷んでしまい硬くもろい紙になってしまいます。

「にじみ」を得る西嶋和紙独自の手法「故紙」

西島の先人たちは思いもよらないことを考え出しました。

一度紙になって10年以上経過した紙は繊維から樹脂が出てしまっています。

紫外線に当たったり風化したりしています。

この古い紙を材料としてもう一度アルカリ処理することで樹脂分を完全に抜くことを考えたのです。

日本で宣紙と同程度の「にじみ」を生み出す為に西島の先人たちは合理的な方法をあみだしたのです。

日本では、西島では3年~5年材料を広げておく場所も時間も不可能ですが、一度漉いた古紙を再生することで美しい「にじみ」を得ることが出来ました。

この先人たちの、使用済みのものから新しい紙へと再生する心が、弊社の農業廃棄物や使用済み紙幣から新しい役目を持った紙に生まれ変わらせる商品づくりの基礎となっています。

作品は片岡鶴太郎氏が弊社に訪れ、即興で書かれました。