紙屋に生まれ、紙の仕事に携わり40年。
いつも二つのことを思い紙をつくります。
今の世の中必要とされる紙をつくりたい。
プリンタ用紙はその思いで作りました。
懐かしいとか、古いからという理由ではなく、この紙は三椏の繊維がこの写真には生えるね、とか、楮の白さが作品を生かすね、とかいったぐあいで。
和紙だからではなく写真の作品作りに最適な素材を選んでいったら「おおむらさき」にたどり着いた。
そんな紙を作っていきたいです。
もうひとつは、450年続いた「西島手漉き紙」を次の世代に引き継ぎたい。
いろいろなところで終わっていく産地を見てきました。
今作っている画仙紙の技術も、一度途絶えると再現できないと思います。
それは、紙を作るのは、言葉では伝えられない小さな、小さな技の積み重ね。
小さなコツの積み重ねの上にあるからです。
その小さな技は450年の「西島手漉き紙」の歴史から生まれたものです。
漉き重ねた紙の上を転がす簾の速さ、簾を捲るときの速さの変化、
原料と練りの塩梅、紙の厚さを感じるコツ。
10年や20年では到底出来上がらない技ばかりです。
続けることで残る技、残さなければならない技。
私の使命だと感じます。