2020年3月15日
西島手漉き和紙の技法で楮の繊維を絡ませ簾の上で水の引く一瞬の模様。
プリント用和紙「おおむらさき 楮」と同じ紙を使い照明器具に仕上げるとこんなに美しい模様が現れます。
LEDの優しい光越しに見る和紙は美しい。
見る人の心に一瞬で日本の原風景を想像させる和紙の美しさ、手漉き和紙の神髄です。
楮の皮を煮てチリ拾いをし、なぎなたビーターで解していきます。わずか20分刻々と変わっていく繊維の様子を見ながら、「このくらいかな」「照明器具ならあまり繊維を解さない方がいいかな」などとビーターに手を入れ繊維とにらめっこです。
そうすると、手触りが次第に柔らかく指先に纏わりついてきます。その感触をたよりに、わずか数十秒違うだけで出来上がりの和紙の表情がガラリと変わります。その一瞬、ここだ!と自分で決めビーターを止めます。
その名の通りなぎなた型の刃が何本もシャフトに付き回転することにより、原料の楮の皮を切るように解していきます。
和紙の里のなぎなたビーターは23年前に私が設計したもので、なぎなたの刃先はステンレス製で、かなり切れる刃先になっています。私を含め何人か、この刃先で指を切っています。しかし、繊維を切るのではなく、細い刃先に繊維をひっかけて解していく感じです。楮は攪拌していくうちに双眼といって両端にくくりのある対の毛玉のようなものが出てきます。なぎなたビーターはこの双眼ができにくく綺麗に繊維を解してくれます。刃先の切れ味がいいと、ビーターにかける前の打解の時間が少なく済みます。
今回は双眼も出ず、思った通りの感じで繊維が散らすことができました。光を通して和紙を見るとちょうどいい感じ。